2012年04月02日

 春のきざし三題

 残雪を 分けて芽吹く ふきのとう

 気象庁が、開花宣言の基準にしている靖国神社のソメイヨシノやヤマザクラが、ようやく、芽吹いた。
 だが、春を告げる花は、なんといっても、ふきのとう(蕗の花茎)のように思われる。
 残雪から、這い出すように咲くすがたが、春を待ちわびる心情にマッチして、ほほえましい。
 西洋では、雪が、ふきのとうに遠慮して、降り分けるという言い伝えがあるらしい。
 雪の白い色は、ふきのとうから分けてもらった色だからという伝説である。
 小さなパッケージに入ったふきのとうが、スーパーに出回りはじめた。
 特有のにがみが口にひろがるふきのとう天ぷらも、春の訪れをつくづく実感させてくれる

 差しかざし 手にほんのりと 春火鉢

 花冷えということばがある。三寒四温のあと、春一番が吹き、ようやく暖かくなったかと油断していると、急に寒さがぶり返す。
 風もつよく、やっと咲いた桜が散りやしないかと気にかかる。
 最近、火鉢などめったのお目にかからないが、日本の生活文化の代表である。
 木炭を着火させる火おこし器、その火を移動させる十能(じゅうのう)、火箸、灰ならし、鉄瓶をかける五徳、餅などを焼く金網、火消し壷、どの家庭にもあった日常品だった。
 花冷えの日、赤々とした火鉢の炭に手をかざして、暖をとった。
 いまも、炭火の熱が、掌の記憶に残っている。

 まぼろしの 引鶴去りて 空淡く
 
 秋に渡来して、冬を越した鶴が、春になって北に帰っていく。これが「引鶴(ひきづる)」で、春の季語になっている。
 1万羽以上のツルが越冬する鹿児島県北西部の出水平野では、3月頃、ツルたちが、一斉に大陸へ帰ってゆく。
 春の淡い空を見上げながら、飛び立ったツルが、やがて、すがたを消してゆく壮観な光景を思いうかべるのである。

posted by office YM at 10:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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