2013年03月26日

 春のきざし3題

 うたかたの 橋をわたるや 寒の川  

 井の頭池に源を発して、東へ流れ、両国橋の近くで隅田川に合流する神田川は、かつれ、平川と呼ばれた。
 徳川家康は、江戸の飲料水を確保するために平川を改修し、井の頭池と善福寺池、妙正寺池を水源とする神田上水を整備した。
 二代将軍徳川秀忠の時代に、小石川から南流していた平川の流路が東につけかえられ、神田台と呼ばれる台地を掘り割って、現在の御茶の水に人工の谷を造成し、神田台の掘割に水道橋が架けられた。
 この改修工事ののち、平川は、神田川と呼ばれるようになった。
 井の頭池から神田川沿いの旧街道が、わたしは、散歩コースで、歩きながら、ときおり、徳川三百年の江戸を想う。
 明治維新から百五十年、あと百年後、日本は、どんな時代を迎えているだろう。
 うつし世は、現し世で、この世のことだが、移し世でもあって、うたかた(泡)である。
 日々は、流れる川なら、日々の出来事は、流れに浮かぶうたかたであろうか。
 
 立ちて消ゆ 水泡に春の きざしかな

 春が待ち遠しいのは、庭のおもりをしているせいで、ようやく、庭の草花や木々が芽吹きはじめた。
 川にも、春のきざしがあるもので、流れに水のぬるみが見てとれる。
 つよまった陽射しのせいで、水面が、きらめいている。
 神田川の水泡に、一人、春のきざしを見ているのである。

 やわらぎて 瀬の音に春の 音を聞く

 やわらぎは、寒気や風がやわらぎ、陽射しがやわらかいことで、全長二十五キロ、江戸を潤し、東京の縦走する神田川が、いま、目の前で、薄日を返している。
 やは(わ)らぎは、おだやかになることでもあって、心のやはらぎは、安らぎ、憩いである。
 和は、大和の和、和をもって尊しの和で、やはらぎこそが、日本人の心であろう。
posted by office YM at 16:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする