かりがねや 茜のそらに 消えゆきて
武蔵野の杜 秋彩(いろ)づきぬ
(古里)
古里の 磯に舞い飛ぶ 海鳥の
なく声寂し 秋の夕ぐれ
(小夜ちどり)
庭先の ほつ枝で鳴きたる 小夜ちどり
われは独酌 来たりて語れ
(夏のおわりに)
夕なぎの 寂けき波音 伊豆の海
夕日にそまりて はま千鳥舞う
(若き日の思い出)
わが胸に 宿りて消えぬ マドンナの
淡き思い出 老いたりてなほ
(秋の夜長)
カナカナと なく蜩の 声すみて
手酌はかどる 秋の夜長よ
(秋)
おちこちで なくすずむしの 声すみて
秋の夜長は 寂かに更けり