2012年09月11日

 晩夏3題

 残蝉や 声かすれきて 高き空  
 
 今年の夏は、領土危機や内政の混乱もあってか、暑さがいっそうきびしくかんじられた。
 夏といえば、蝉の声だが、今年は、例年にくらべて、数が少なかったように思う。
 とくに、九月にはいってから、蝉の声が、ほとんど、聞かれなくなった。
 残蝉は、季語ではないが、晩夏から初秋にかけて鳴く蝉で、一説によると、ヒグラシらしい。
 せみしぐれには、入道雲が似合うが、残蝉の空は、高い。
 もう、秋の空なのだ。

 日輪の 炎やはらぎ 風立ちぬ

 インドでは、灼熱の太陽が、最高神であり、破壊神でもあるらしい。
 善悪両面をもつのは、日本の和魂と荒魂のようなものであろうか。
 熱帯のインドで、照りつける太陽が、悪魔のように思えて、無理もない。
 若い頃は、大歓迎だった夏も、年齢を重ねてくると、ひたすら、秋の涼風が恋しい。
 風立ちぬとは、ここでは、秋風が吹くことだが、物事がはじまる、生気が吹き込まれるという意味もあるようだ。
 読書の秋というが、この秋には、夏にやり残した仕事が、山積している。
 やはり、風立ちぬ秋なのである。

 名月を 背負いて一人 影法師

 夏の夜空に、満月がうかんでいる。
 この満月の次の満月が、今年(2012年)の中秋の名月(9月30日)となる。
 そう思って、歩きだすと、足元に影が落ちている。
 外国へ行っても、夜空に、日本で見た月と同じ月がうかんでいる。
 何のふしぎもないが、おやと思う。
 名月や そこに居たかと 月が言う 
 そんな句を手帳に書き付けた記憶がある。
 ススキに月の風情は、日本だけのもので、名句が多い。
 有名なのが、芭蕉の 名月や 池をめぐりて 夜もすがら であろう。
 わたしの好みは、蛸壷や はかなき夢を 夏の月 である。
 月が、蛸壺の出口に見えている。
 夏の夜空にうかんだ月から、蛸壺のなかで、はかない夢を見ているわれをふり返っているのである。
posted by office YM at 07:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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