今年は、冬の終わりから春先にかけて、寒のきびしい日とゆるんだ日が、交互にやってきた。
寒い春という長期予報どおり、三寒は、冷え込み、四温といっても、春まだ遠しの感が深かった。
それでも、窓辺のひだまりには、春の気配が漂っている。
今年の冬は、いつもより、長かったような気がする。
陽だまりで、その冬が去ったことを、ようやく、知るのである。
散る花の しずけき音や 春浅し
今年は、盛りに雨が降ったこともあって、あらたまって、花見にでかけなかった。
気づくと、いつのまにか、花が散りはじめている。
しずけき音は、花を散らした、春にしては冷たい雨の音だったかもしれない。
一片を 川面に浮かべて 花終わる
一片と書いて、音読みは、ひとひらである。
ひとひらは、小さく、はかないが、深く印象に残る何かである。
ひとひらの雪、ひとひらの風、そして、一片の花弁は、移り変わる季節を雄弁に物語っている。
水面に浮かんだひとひらの花弁に、時節の移り変わりを知ったのである。
【関連する記事】