民のさち 国の弥栄 すめらぎが
皇祖(かみ)に祈れる 葦原の国
民のさち 神に祈れる すめらぎを
神にみたてて 永久の国体
すめらぎは 民の竈に 思い馳せ
政事(まつり)の者は その威を畏る
人の世の 徳にはあらぬ すめらぎの
貴きものは 万世の祈り
民のさち 祈るすめらぎ 二千年
恋慕に似たり 君への思ひ
降る雪や 静寂厳 このやしろ
高天原へ 白き神籬(ひもろび)
神々が 天地(あめつち)ひらき 尊らが
国土をつくりし 葦原の国
君が代の 君は我が君 いにしへは
恋しきひとを さしても言へり
コスモスの 花絨毯や 武蔵陵
すめらみことよ 千代に八千代に
君臣が 一つとなりて 栄えたる
大和島根に 在わすよろこび
八十路なる この身ははてて 朽ちるとも
すめらみことよ 千代に八千代に
憂国
敷島の やまとおのこを 祀る杜
すめらみことの こぬはかなしき
老いゆきて すめらみことの 退位をば
しずかに聴くも ただただ寂ぶし
御國と 赤子(たみ)を思ふ 大御言
君の御心 民に知らしむ
いにしえに みかどが在わせし 吉野山
さくら競いて 儚き栄華
うたかたの うつしこの世を いかにせむ
すめらみことの 道は一すじ
戦犯と 呼ばれし七士の 隠れ墓
訪なふ人の なきぞかなしき
竜aと 云う大丈夫が たずねきて
われら語りぬ 国を憂いて
友在わす まほろばの里 たずねゆき
酒をぬくめて 譲位をかたる
四季と自然
いにしへの 人も詠みたる 梅の花
咲きたる庭に 競う花なく
わが庵の いま盛りなり 梅の花
春告ぐ鳥の 声と競えよ
武蔵野の 雲高き空 鳥帰る
忘れるなかれ 雲の路筋
紅葉の 燃え焦がれたる 木連れ川
想い届けよ 獄窓の師に
紅白の 梅の小枝の いろづきて
春告げ鳥の 鳴くを待ちわぶ
萌えいずる 水草の間を 流れ行く
せせらぎの音 春の琴歌
さつき空 垣根の薔薇を 揺らす風
この香をはこべ あの窓辺まで
わが庵の 梅は競いて 咲きたれど
春告鳥を 待ちてひさしき
かっこうの ひねもす鳴くや 木曽の道
苔むすしるべ 君棲むところ
神田川 水辺で遊ぶ 子等の背に
よわきこもれび 秋はしのびぬ
せせらぎの 音をかき消す せみしぐれ
神田川の 夏のおわりに
あかあかと 迎え火たきて 子等は待つ
見えぬ祖霊に 手を合わせつつ
さむざむと たださむざむと さざれたつ
湖面に浮かび 流れゆく月
一片(ひら)が 肩をたたきて 秋はゆく
武蔵野宮の 木々もいろづき
子等遊ぶ 流れ優しき 神田川
やんまが一尾 秋を告げ飛ぶ
初雪や 上枝(ほつえ)で華と なりにけり
水面さざれて 冬鳥遊ぶ
いにしえに 家康が汲みし 茶の水は
いまもやさしく せおとをたてて
渓流の 漱に立つ泡の 消えゆくを
しずかに見てり 秋あさき日に
こもれびを 背にして歩む 古き道
いにしえ人の 足の音きこゆ
わが庭の 梢にとまりて ホロホロと
山鳥なくを 聞くは侘しき
ホロホロと 山鳥なきて 武蔵野の
木々は彩づき 秋を装いぬ
秋なれや かなたこなたに 鈴虫のこえ
長月の夜半 なぜか寂(しず)けき
君と往く なもなき小径は たのしかり
山鳥なきて(寂かに暮れる
いつくしき 武蔵野の空に ひとひらの
雲なかるるは のどかなりけり
むさしのの 空にたなびく 夕雲は
あかねに染まり 寂かに暮れり
君と往く なもなき小径 たのしかり
山鳥なきて 寂かに暮れる
いつくしき 武蔵野の空に ひとひらの
雲なかるるは のどかなりけり
晩秋や 庭前の梢 色づきて
鰯雲うく 武蔵野の空
ふるさと
星霜を こえてけなげや ふるさとの
荒れたる山は 芽吹き忘れぬ
老いてなほ まなうらに宿る ふるさとへ
いま帰り来て なみだおとしむ
まなかいに うかぶ ふるさと 薄らぎて
追憶の日々 慕いて かなし
寂ぶしきや 吾が身の内で ありひ人
逝きてふるさと また遠くなり
ふるさとの 真砂の浜は かなしぶて
すぎさりし日々 慕いて 恋し
たらちねの 母のつくりし ふきみそを
真似たる夜半は なぜかわびしき
哀しぶて なほ恋しきや ふるさとを
目を閉じて想う 夏の終わりに
海原の 彼方に在りし ふるさとに
眠りし父母を 想うは哀し
吾れ俺と 訛りなつかし 竹芝の
待合室に ふるさとが在る
遠き空 その下にある 古里を
病みたる夜半は なほも恋しき
りんりんと 鈴虫なきて 寂けき夜
父母の眠れる ふる里想う
竹芝の 船着きのりばに 飛び交ひし
こころに温し ふるさとなまり
吾が胸に 宿るふるさと あたたかき
父の和(なご)みと 母のぬくもり
想い
弁天へ かけたる願の かひもなく
友は逝きたり 春を待たずに
此岸とは はかなきものと 身に沁むる
逝きせし友を 偲ぶ夜半こそ
また一人 友去り逝きて わが齢
指折り数える 夜半無情(かなし)
神仏の いずこにありや 大津波
二万幾多の 命はかなし
荒魂の 残せる傷に たちむかふ
わが同胞の 心は一つ
ふるさとの 被災の苦難 のりこえて
東北球児 意気高らかに
まほろばの 熊野古道の けわしきを
古(いにしえ)人と なりて歩むや
病む床の 窓をゆすぶる 虎落笛
激しき北風(ならい)止むことしらず
窓をさす 月の光の やわらかき
鳴く虫の声 冴えわたる夜半よ
この胸の いきどおるおもい いかにせむ
怒涛となりて 天をつけ
スワンをば 踏みこぎ遊ぶ 親子あり
子等の歓声(よろこび)聴くもたのしき
賽銭は 一紙半銭 願いは多く
弁天様は 笑って見てる
いつの日か またあいみむと 別れたる
友の訃報 聞くはかなしき
老いずきて うつしこの身を ひきづりて
散りゆくさくら 見るも寂ぶしき
新島の 白き真砂の 砂浜に
いとしきひとの名 書きてまた消す
旧き家に 縁者つどりて 親しみて
本家分家と 呼び合う温さ
りんりんと なる風鈴の 音を聞きて
逝きし吾が子を 偲びし夜半よ
老いずきて なほよき年をと 祈る吾れ
百と八つの 鐘のまにまに
ちはやぶる 護国神社の 神々よ
吾がおたけび 聞こえたまいしか
あがたなる 大人が開きし学び舎で
臣は集りてあつく語りぬ
煙り立つ 三原の山の そのふもと
六十路なかばで 君は眠りぬ
(都会議員 故川島忠一 古里に眠る)
さざれ波 海鳥遊ぶ 波浮港
君は眠れり 小高き丘に
(学生時代の友人、松下寧故里に眠る)
足腰の 弱りを愚痴る 君なれど
孫を背負えば たちまち健脚
蟻ん子の 背負いた重荷に くらぶれば
吾が煩悩の 凡下なるかも
煮しめをば 作れば聞こゆ 除夜の鐘
真似たる母の 味にとどかず
ほほえみて またあいみむと ちぎりたる
君の笑顔が 宿りて消えぬ
あきる野に 眠りし吾子の 墓標にも
青き苔むす 吾れも老いしか
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