老境
なぜかくも ふるさと恋しや 病みし夜は
父母友の 亡き里をなほ
旧友
秋の夜に 君のくれたる 栗食(は)みて
いかに在わすか 思いて寝入る
さるすべりの花
薄紅(うすべに)の 花を競うや さるすべり
つつがなきやと 君想う秋(とき)
吾が庭前に友が植えたさるすべりの木。今年も花咲き競う。令和二年
磯笛
磯笛の 音(ね)聞きて思う 友のこと
天草(てんぐさ)採りを 競いし日々よ
昭和二十年代。三宅島は天草の産地であった。夏休みに友と競って天草採る。友の吹く磯笛。なつかしや
中秋の名月
平(たいら)らかな 御世を祈りて 大君(きみ)眠る
武蔵野御陵を 照らしゆく月
【関連する記事】