風に舞う 落葉の街 一人歩む 舞い落ちた紅葉が、野一面にうちかさなって、ときおり、風にのって空へ舞いあがる。
木々は、丸裸で、地面の紅葉も、この時期は、紅色を失って、林は、モノトーンにつつまれる。
それが、武蔵野の冬の風情で、わたしの散歩コースである。
この寂れた風景に、わたしは、安らぎをかんじる。
冬は、休憩の季節で、すべてが、じっと息をひそめているからである。
数か月もすれば、木々が芽吹き、野が若緑色に包まれる。
枯葉を踏みながら、来年の春まで、この灰色の景色をながめることになる。
木枯らしや 川面を走る 落ち葉舟 落葉が、風に吹かれて、つむじを巻いている。
川面の落葉が走っているのは、流れがはやいからではない。
木枯らしに吹かれて、川面を滑っている。
冬の風は、北風、寒風などのほかに、北ならいなどという言い方もある。
木枯らしも、特有な言い方の一つで、春一番が春の兆しなら、木枯らし一号は、冬の到来である。
襟巻きをして、足早に歩いている神田川の辺からふとみると、枯葉が、木枯らしに巻かれて、笹舟のように漂っている。
思わず足をとめて、ながめたのである。
逝き人を 偲ぶる夜半の もがり笛 木枯らしが吹く日は、木々や柵、電線などから、ヒューヒューと笛のような音が聞こえてくる。
これを「もがり笛」と呼び、漢字では「虎落笛」と書く。
勇ましい字面だが、実際は、もの悲しい音である。
押し迫って、賀状のリストから、物故された方々を外させていただく。
そんな作業をしていると、亡き人の面影や思い出が、脳裏をよぎる。
手を休めると、窓の外から、遠く、もがり笛が音が聞えてくる。
やるせない夜なのである。
ほろ酔いで 熊手を肩に 酉の市 酉の市は、毎年、年末に、大阪の大鳥大社など、日本武尊を祭った日本各地の鷲(おおとり)神社でおこなわれる「祭礼」で、東京では、花園神社(新宿)が有名である。
今年も、わたしは、花園神社へ出向いて、熊手を買った。
鷲神社は、日本武尊が、武運長久、開運、商売繁盛の神で、熊手守りも縁起熊手も、金や縁、運を掻き集めようというのである。
新宿という土地柄とあって、友だちと連れ合い、一杯ひっかけてから、でかけることになる。
この世のすべては、めぐり合わせで、人生は、運をつかむか、否かである。
熊手を肩に、雑踏に紛れているじぶんが、われながら、おかしいのである。
posted by office YM at 12:49|
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